夏日憂歌




「ふぅ。」

楽屋の窓から空を見上げてひとつため息をつく。
今日一回目の公演が終わり、一息。
せやけどすぐに2回目の公演が待っている。

公演と公演の間の休憩は一時間もない。
終わったと思ったらすぐ次の部が始まり
それが終わったと思ったら1日が終わっている。
一日中、陽の当たらない建物の中にいると
今が本当に夏なのかすら疑問に思えてくることがある。

こんな夏の生活ももう4年目になるから、それを悲しいとは思わんけど。
むしろありがたいことやし。

だけど、たまに自分は一体何者なんやろうと思ってしまうときがある。
あまりにも早く流れていく時間に追いつくのに必死で
夏の暑さとか、うざったいくらいのセミの鳴き声とか、まばゆいまでの太陽の光とか
そんなん感じてる余裕なんてなくなった。
ただひたすら、与えられたことをこなす毎日。
季節の移り変わりを感じることすらできなくて、こんなんで人間って言えるんやろか。

いろんなもの犠牲にして
大切なものまで俺のそばから離れていった。

そうまでして俺のつかみたいものって何なんやろ。
そうやってつかんだものにほんまに意味なんてあるんやろか。


分からなくなる。



「すばる、なんやボケーっとしてどないしたん?」
「もうすぐ2部始まりますよ?」
背後からヒナとヤスの声。

はっと我に返った。

「うわー!マルが僕のアイス勝手に食べたー!!」
「ごめんー!!やって甘いもん食べたくてがまんできへんかってんもん。」
廊下に大倉とマルの声が響く。
「なんや、マルまた人のもん食ったん?懲りひんなぁ、お前も」
亮が呆れたように言う。
「大倉―!内もマルと一緒にアイス食ってたでー!!」
「うわっ!横山くん、それ言うたらあかん!!」
内があわててのヨコの口をふさぐ。
「うっちーーー!!!!」
大倉は矛先を内に変えた。
みんなはそれを見て笑ってる。


特別でもなんでもないいつもの光景。


あぁ、そうや。
これが俺の夏やった。
ここが俺の居場所やった。
いろんなものを犠牲にしてつかんだ俺の居場所。

ふっ、と笑って俺は立ち上がり
「そろそろ行こうや。」
ヒナとヤスの背中を押した。


「なんやー?」
「すばるくんなにオトナぶってんねん。」
「さっきまで暗い顔してたのにな。」

みんなのブーブー言う声が聞こえた。
俺はもう一度ふっと笑い。
あいつらに言うたった。

「おまえらうっさいねん!!おちおち物思いにもふけっとれんやんけ。」


そうや。
何も特別なものは望まない。
来年の8月もこうしていられたら、それでいい。



fin...


*   *   *   *   *   *   *   *   *


うわぁ・・・駄文ですいません・・・。
小説ずっと放置プレイだったので、リハビリもかねて書いてみたのですが、なんか大失敗の予感。苦笑
大きなテーマがあるわけではない、日常のヒトコマを切り取ったさりげない文章に憧れて書いてみたんですが。
文章もっとうまくなりたいなぁ。

タイトルはSMAPの曲から。
この曲をモチーフにしたとかでは全然ないんですが、タイトルを考えているときにふと浮かんだのがこの曲で。
すごい綺麗なタイトルだなぁってずっと思っていたので、使っちゃいました☆
この曲自体もとってもいい曲です。
聴いたことない方は是非!
大サビの中居くんのファルセットがかなりいい感じで泣けます☆


2005.8.21

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